A50事業報告 / A50実行委員会 Mail


2.出版事業
−日米戦後史の出版−

 この事業の目的は「後世に伝えるに足る」日米戦後関係史を編むにある。内容は戦後の日米関係を、政治、外交、経済、社会、文化の幅広い視点で日米双方から検討し、描き出すものとした。
 総監修責任者には日米外交史の大家、細谷千博・国際大学名誉教授を迎えた。学術的に学者や専門家に評価されるだけでなく、一般市民にわかりやすい「市民版」とするという大目標が、細谷教授を中心に構成された編集委員会で決まった。
 日本側は、全体の構成を三部構成として、第一部「外交・政治・安全保障」、第二部「経済」、第三部「社会・文化」という大粋が決まった。このフレームワークづくりだけでも、数ヶ月に及ぶ熱心な議論が積み重ねられた。
 米国側でも、同じ趣旨にたった「日米戦後史」のとりまとめを米国歴史学会の会長をつとめた入江昭ハーバード大学教授に依頼、快諾を得た。
米国版の構成や執筆陣の人選は入江教授に一任した。
 完成した日米双方の「日米戦後史」4冊(うち2冊は、それぞれ英訳版、日本語訳版)のずっしりした重みは、日米関係に寄せる人々の想いを伝え、今後、21世紀の日米関係に明るい展望をひらく礎石になってくれるにちがいない。

出版された4冊の日米戦後関係史



『日本とアメリカ:パートナーシップの50年』
(A50日米戦後史編集委員会編、細谷千博監修、ジャパン・タイムズ刊 2001,705pp)
 日米関係史を貫くテーマは、これまでは「対立」と「協調」だった。本書はそれに「友好・交流」という視点を加えた。

 三部構成の第一部「外交・政治・安全保障」および第二部「経済」は従来の対立と協調の色彩が強く出ているが、第三部「社会・文化」では、友好・交流の側面も色濃く描かれている。

 執筆者は本文33名、コラム32名、総計65名が携わっている。これほど多岐な分野にわたってさまざまの視点から描かれた戦後日米関係史は他に類を見ない。

(英語抄訳:Japan and the United States:Fifty Years of Partnership,The Japan Times,2001,162pp)





『パートナーシップー日米戦後関係史』
(入江昭、ロバート・A・ワンプラー編、細谷千博、有賀貞 監訳
講談社インターナショナル刊 2001,390pp)

 多くの日本人にとってA50のAはAppreciation(感謝)を意味するだろう。この本に論文を寄せたアメリカ人の著者たちには、A50のAはAppraisal(評価)とかAssessment(設定)のAであるように思われると言う方が適切であろう。

 論文の観点はさまざま。太平洋を挟んで起こった政治的な出来事、戦後の駐日アメリカ大使列伝、安全保障体制の起源と機能を注意深く歴史的に辿ったもの、70年代半ばの米国の対日経済政策などを論じ、両国間の貿易「摩擦」を検証しているもの、風刺漫画において日本がどのように描写されたかを解説するものなど。

 全体としては、第二次世界大戦後の日米関係の様々の面 −政治、安全保障、経済や文化場の色々な出来事− がいかに相互に関連しているかを明らかにするのに役立つ。

(英語版:Partnership:The United States and Japan 1951−2001,Kodansha International,2001,336pp)





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